「ばっかもーん!!廊下に立っとれ!」

と怒られる姿、ドラえもんでよく見かけます(最近は少なくなったのかな)。

実際このような指導法は昔行われていました。

今では、体罰などの観点から難しいかもしれません。

今回はこの指導法が行動にどのような影響を与えるのか考えていきます。

タイムアウト法

廊下に立たせる教育法は、行動分析学的にはタイムアウトとして機能するかもしれません。

タイムアウトとは負の弱化の原理を応用したもので、問題行動をへらす手段の一つです。

負の弱化とは、「行動した結果、刺激(強化子/好子)がなくなることで行動が減ること」です。

そしてタイムアウトの定義は、

タイムアウト・・・行動が起こった後、一時的に強化子が得られる機会を剥奪すること

です。

これをのび太に当てはめると、皆と共に授業が受けられる(強化子)→問題行動→廊下に立たされ、皆と授業が受けられない(強化子の剥奪)

これを見るとのび太の先生は有能かと思いますが、そう単純ではありません。

タイムアウトを行うにあたり、いくつか注意点があります。

タイムアウトの注意点

①剥奪する機会や時間は一時的であること

②剥奪する前の環境は、その人が好きなものなど、強化子が満たされていること

③剥奪した先の環境で強化子が安易に手に入らないこと(機会の剥奪なので)

それぞれもう少し掘り下げます。

 

①は、体罰を与えることが目的ではないので、剥奪したらちゃんと元の強化子がある環境に戻さなければいけません。

のび太を廊下に立たせたまま授業が終わってしまったりすると意味ありません。

剥奪は数分で、一時的であることに気をつけましょう。

 

②は、かなり重要です。これを間違えると逆に問題行動を増やすことになります。

安易にタイムアウトを行う前に、現在の環境に果たして本当に魅力的な強化子があるか考えましょう。

つまりのび太にとって「皆と共に授業が受けられる」が十分魅力的な強化子であることが大前提です。

もし逆に、のび太にとって授業という環境は弱化子(嫌子)が多く、回避したいものであれば、問題行動を減らすどころか悪化します↓

授業がものすごく嫌(弱化子/嫌子いっぱい)→問題行動→授業回避(弱化子/嫌子がなくなる)

という負の強化(行動した後に刺激が無くなることで行動が増えること)が起きます。

なので、タイムアウトを行う際は、十分に魅力的な強化子が溢れているような環境を、問題行動の前や日常で用意してあることが非常に重要です。

視点としては、いかに「剥奪するか」ではなく、いかに「魅力的な強化子を日常に用意するか」です。

 

③は、剥奪するのは物ではなく機会であるという意味です。

のび太の例が①、②の条件をクリアしたとしましょう。

のび太にとって、皆と一緒の空間にいれて、共に勉強できることが魅力的な強化子であり、廊下に立たされる時間(剥奪時間)も3分だったとします。

しかし、廊下からしずかちゃんのことを凝視できたり(のび太の強化子)、隠し持っていた漫画を読めたり(のび太の強化子)、と先生がタイムアウトを行ったつもりでも強化子が得られる環境があると意味ないです。

 

最後に

以上のようにタイムアウトを行う際は注意点があります。

それでもうまく使えば有効に問題行動を減らすことができます。

タイムアウトには苦痛刺激を用いた正の弱化で生じるデメリット(気になる人はこちらから)が起きにくいと言われています。

なので、怒鳴ったり、ましてや叩いたりするよりかなり有効に行動を減らせます。

その一方で、普段から強化子が多い環境を設定することは中々大変だという意見もあります。

「普段の環境が魅力的」、教育者・指導者の腕の見せどころですね。

 

最後に、一応このブログはビジネス界の行動分析に詳しくない人を想定しているので、産業場面での例を挙げて終わりにします。

タバコを吸う社員に対し、その社員の問題行動が起こったら3時間喫煙ルームへの出入りを禁止する。

問題行動を起こさなければ、「好きなタイミングでタバコを吸いに行ける」という強化の機会がありますが、問題行動や減らしたい行動が起こった時に、一定時間喫煙室の出入り禁止とすると、強化の機会を剥奪するので怒鳴ったりしなくても有効に減らせるかもしれません。

もっとうまく使える事例もあると思います。

他にも産業場面でのタイムアウトについて、良いアイディアをお持ちの方はぜひ教えてください。

ではまた。

 

 

 

 

(なんでドラえもんでこんなに分析してるんだろうと思った)