「A4一枚評価制度」は、
評価結果を原則給与や賞与に反映させません。

「それでは評価制度の意味がない」

と言われることも多いのですが、なぜ反映させないかというと、
この制度の目的が「人材育成」と「業績向上」だからです。

給与・賞与を評価結果で決めることをすると、
この目的の「人材育成」と「業績向上」には逆効果になることが多いため、反映させないのです。

なぜ逆効果か。

一つは「条件付け」されてしまう、ということです。

「これだけ頑張れば、これだけもらえる」
ということを示すことは、
一般的に動機付けにつながるようになると思われがちですが、
実際には条件を提示せずに、サプライズでご褒美が出たり、
それも出たり出なかったりした方が、行動の促進にはつながるということ。

そして、もう一つ。

本当にこれはどの会社でもやってしまっていて、
致命的な問題になってしまうこと。

それは、「調整する」ということです。

企業、とりわけ中小企業は、給与上げられるかどうか、
賞与を出せるかどうかは、業績によるところが大きいかと思います。

大手企業のように、何か月分はきっちり、
とはやりたくてもなかなかできない状況なのではないでしょうか。

するとどういうことが起きるか。

「いい評価を取ったとしても、そんなに給与を上げられないから、評価自体を調整する」

ということが起きます。

これは本来であれば、
人事評価制度の根本の信頼に関われる大問題であり、
絶対にやってはいけないことなのですが、
いままで私が入らせていただいた企業、ほとんどでこれが起きてしまっています。

これでは、人事評価に不満がある、
となるのもやむを得ないでしょう。

課長であるAさんは、
今期は評価項目に記載されていることを頑張ってやってきた。

しっかりと自分自身に求められるものを理解し、
成果もあげ、勉強や研修なども受けて、能力も向上させた。

このA課長を各項目ごとに評価していき、
その点数を合計したところ、「80点」の評価になった。

80点を取った場合は、賞与が通常計算の1.5倍、
給与は2万円ほどあがると、
「モチベーションを上げるためのオープンで明確な制度で」事前に示していた。

ところが外部環境などの急激な変化で、
業績が芳しくない一年だった。
給与を上げることは正直厳しい。

さて、こんなときに何が起こるでしょうか。

「点数」の方を調整してしまうのです。

80点だったら賞与が1.5倍、給与3万UPはきつい、
せめて賞与は1.2倍ぐらいまでだったらなんとか、給与は5千円ぐらいまでの増加で・・・。

そうすると、制度で決まっている合計点が64点になれば大丈夫だ。
この「リーダーシップ」という項目が5点なのを4点にして、
「マネジメント」という項目は3点にして・・・。

こんな「調整」をしている企業のなんと多いことか。

このA課長のモチベーションはどうなるでしょうか。
今期は求められていることを頑張った。きっと評価してくれるだろう。
しかしフタを開けてみれば、「評価点」自体がまったく伸びていない。去年とほとんど同じ。

ちゃんと見てくれているのか。
上司の評価はおかしくないか。
この会社ではやっても無駄だ。

このようなことが起きてしまっているのです。

長くなりましたので、続きはあさってのメールでお伝えします。
(申し訳ございません)

給与・賞与と評価の連動は、しっかり考えてやる必要があるのです。

—————————————————————————————
★編集後記
—————————————————————————————

このメルマガも、無事に2か月間毎日連続で発行させていただきました。

お付き合いいただいて、読んでくださるXXXXさまには、
大感謝です。

これからも役に立つ情報をご提供できることを大事に、
続けていきたいと思っております。

今後とも何卒宜しくお願い致します。