榎本あつしのBLOG(人事制度の学校・評価をしない評価制度・A4一枚評価制度とABA:応用行動分析学)

人事制度や社労士やら応用行動分析学の研究やら猫やら馬やら庭やらで毎日過ごしています。

P・Fの効果その1。看板を設置しただけでスピード違反が減少する。

2021/01/29

ノートPCの画面がちらつく現象が発生してしまいました。

 

 

全く、操作できないぐらいのレベル。

 

長く使っていると起きるので、
熱によってのボード損傷か。

 

うーん、困った。

 

さて、本題です。

 

P・Fの効果その1。看板を設置しただけでスピード違反が減少する。

 

ここ何回取り上げている「パフォーマンス・フィードバック」。

 

本当に効果があるのかどうか。
これが一番大事なところです。

 

この「パフォーマンス・フィードバック」という手段が本当に使えるものなのか、
が重要なわけですね。

 

いくつか実際の実験データで、
この効果を示しているものがありますので、
解説しながら紹介していきます。

 

ケース1:看板を掲げただけでスピード違反が減る?

 

1980年代の論文で発表になった、
アメリカでの古い実験です。

 

とても分かりやすく、
「パフォーマンス・フィードバック」で改善が図れた事例なので、
ご参考になるかと思います。

 

都市部の道路上のスピード違反を少なくする取り組みで、
昨日のスピード違反者はどれくらいだったという「事実」のみを、
ただ看板にして提示するだけで、スピードが下がってくるという実証データです。

 

具体的には、もともとある「制限速度50km」と出ている標識の横に、
「スピード違反のドライバー 昨日は94%」という、
事実だけが書かれている看板を設置したのです。

 

出典:JOURNAL OF APPLIED BEHAVIOR ANALYSIS 1980, 13, 383-395 NUMBER 3 (FALL 1980) AN ANALYSIS OF PUBLIC POSTING IN REDUCING SPEEDING BEHAVIOR ON AN URBAN HIGHWAY RON VAN HOUTEN, PAUL NAU, AND ZOPITO MARINI MOUNT SAINT VINCENT UNIVERSITY

 

すると平均走行速度以上のドライバーの割合で、
それぞれ74、66、58、51km/hrのスピードを出しているドライバーは、
7.5%、23.7%、64.7%、92.8%ほどいたのが、
看板設置後は、1.5%、11.5%、44.8%、84%と下がってきています。

 

設置をやめると復活してまたスピードが上がり、
また提示すると下がっているというようなデータで、
繰り返していくうちにスピードの減少は維持されていくようになっています。

 

【看板設置によるドライバーのスピード違反軽減】

 

出典:JOURNAL OF APPLIED BEHAVIOR ANALYSIS 1980, 13, 383-395 NUMBER 3 (FALL 1980) AN ANALYSIS OF PUBLIC POSTING IN REDUCING SPEEDING BEHAVIOR ON AN URBAN HIGHWAY RON VAN HOUTEN, PAUL NAU, AND ZOPITO MARINI MOUNT SAINT VINCENT UNIVERSITY

 

左側の「BASELINE(ベースライン)」というグラフは、
何もしていないいままでの状態での測定です。
それが看板を設置する「WEEKLY POSTING(週間掲示する)」と、
右側のグラフに変化しています。

 

古い時代の実験ではありますが、
今現在、行われている各種のパフォーマンス・フィードバックの実験も、
ほとんどが同じような傾向(事実を提示→効果あり、提示なくす→戻る、を繰り返していくうちに維持されていく)になっているのです。

 

一般的には、スピード違反をなくすためには、
「安全へ 注意十分 スピード 八分」(一般財団法人全日本交通安全協会 毎日新聞社誌主催 交通安全年間スローガンより)というようなスローガンや、
危険を示すイラストを掲示したりするなどの工夫をして、
スピードの出しすぎがないように取り組むのが一般的です。

 

また、警察がいわゆる「ネズミ捕り」などで、
取り締まりを行ったりもしています。

 

もちろん、それらも効果はあるのでしょうが、
このように「事実の提示」だけであっても、行動は変わってくるのです。

 

メリットは、なんといっても低コストであること。
そして、すぐにできること。

 

これと全く同じ考えを取り入れるのが、
「評価をしない評価制度」です。

 

会社、上司が人を評価するというのは、
多大なエネルギー、コストがかかります。

 

これを「事実の振り返り」だけにして、
パフォーマンス向上につなげる。

 

非常に節約的で、そしていまからでもすぐできる、
という狙いなのです。

 

 

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