榎本あつしのBLOG(人事制度の学校・評価をしない評価制度・A4一枚評価制度とABA:応用行動分析学)

人事制度や社労士やら応用行動分析学の研究やら猫やら馬やら庭やらで毎日過ごしています。

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)。

ほぼですね、毎日のようにくるのですよ。

 

助成金のFAXが。

 

と、いうのも、小さい事務所ではありますが、
株式会社と一般社団法人を併設していることもあり、
法人向けのFAX-DMが結構来ます。

 

「○○万円受給可能です!」

 

というようなものが。

 

と、いうことで、
思いついて記事にしてみました。

 

今日は「人事評価の助成金」について、
ちょっと触れてみたいと思います。

 

★人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)。

 

「人事評価の助成金」。

 

厚生労働省の正式名称は、
「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)」といいます。

 

要件に該当する「人事評価制度」を導入して、
実施すると50万円。

 

そして、その後に生産性とか、
離職率の低下だとか、一定の成果を出すと、
80万円の助成が支給されます。

 

 

人事評価制度を入れるのは、
働き方改革にもつながるし、
いつかはやりたいと思っていたので、
せっかくだから助成金を貰えれば・・・。

 

と、誰しも思いますね。当然のこと。

 

実際、この助成金は使えるのでしょうか?

 

弊社は、社会保険労務士事務所を併設していることもあり、
厚生労働省の「助成金」に関するお問い合わせなども多くあります。

 

助成金を専門にはやっていませんが、
顧問のお客様より質問など来た場合や、
ある程度の情報などは、ニュースレターなどによりご提供しています。

 

また、「A4一枚評価制度」は、
中小企業向けということもあり、助成金に関心のある企業様より、
この人事評価制度が、助成金の対象にならないか、
というようなお問い合わせをいただくことも増えてきました。

 

前置きが長くなってきましたので、

結論。

 

「A4一枚評価制度」で、
「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)」が受給できるか。

 

回答

「はい、できます」

 

 

では、やってもらえますか。

 

回答

「やらないです」

 

 

・・・えっとですね、
これ、ダメです。ダメ。

 

この「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)」、
要件など読みこめばわかりますが、
コストパフォーマンスよくありません。

 

制度を作成して導入する。
導入というのは、制度を作って就業規則等の規程に定めて、
労働基準監督署に届けることです。
あとで述べますが、ここで賃金の昇給表なども提出しておく必要があります。

 

そして、実施します。実施しないと最初の50万円がもらえません。

 

実施、というのは、
制度に基づいた形で計算した給与を払うことです。

 

新しい制度での給与を支給すること、
これが実施で、これをして初めて50万円の支給申請ができるのです。

 

そして、この際の重要ポイント。

 

新しい制度は、
賃金が2%上がる制度でないとダメなのです。

 

2%というと、30万円の人で6千円です。
10名入れば6万円です。毎月。
一年で72万円増です。賞与もあればもっと増えますでしょうか。

 

そして、その2%以上上がる賃金表を規程として届けるわけです。

 

そう、固定化です。

 

そして、生産性や離職率が下がった場合などの、
成果によってもらえる80万。

 

これ、いつかというと3年後なのです。

 

一応、評価により上る人やそうでない人があるのはOKと入っていますが、
実態として、導入前より下がる人が出たらダメなんです。

 

そして、申請してから受給までも何ヶ月もかかります。
当然、人件費は先払いですから、
上げた給与はずっと最初から払っておく必要があります。

 

3年+申請してからもらえる期間でいくらになるでしょうか。

 

一時金の導入時50万、3年後の80万。

 

コストパフォーマンス、悪いとしかいえません。

 

いや、助成金は損得勘定ではなく、
会社を良くするための補助だ、
といわれるかもしれません。

 

では、会社を良くするとはどのようなことでしょうか。

 

これは、いろいろな考えがあることでしょう。

 

私は、持続経営ができるようになることだと思っています。
そのために、社員に成長してもらい、
顧客に貢献する組織をつくっていく。

 

長くなってしまいましたので、
省略してお伝えしますが、固定の賃金表を作ることは、
社員の成長につながらず、成果を出すことにはデメリットとして、
作用します。

 

それがなぜかは、
拙著「A4一枚評価制度」にて、
詳しく説明しています。

 

ぜひ、ご一読を。
(ながながと話して、最後に宣伝)

 

★やはり「目的」次第ではあります。

 

人事評価制度は、
事業体が成果をだすという目的と、
そこに属する人たちを成長させることにおいて、
最適な手段(ツール)です。

 

給与を決めるツールではないのです。

 

とりわけ、中小企業は給与は業績により決めていき、
その業績を上げるために人事評価をしていくべきと考えています。

 

固定の給与を決めると、
業績によって、出せるとき出せないときが必ず出てきます。

 

本来やりたい、成長のための評価が、
そこでおかしくなっていってしまいます。

 

今回の「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)」、
書類だけで受給できると思って取り入れ、
もっと大きな企業の損失につながってしまう、
ということに、後から気づくことのないように。

 

給与を固定的に上げることが、
その企業がやりたい目的であり、
それを実際にやっていくことが問題なければ、
もちろん検討されても良いと思います。

 

一時金の50万円と、
3年後の不確かな80万円ではありますが。

 

本日の日課 64点(内容をしっかり知って、検討しましょう。)
(日課とは、オリジナルで作製した「行動アシスト手帳」に書かれている毎日やる25項目のうち、何項目やったかを点数化したものである。どんな項目かはナイショ。)

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