榎本あつしのBLOG(人事制度の学校・評価をしない評価制度・A4一枚評価制度とABA:応用行動分析学)

人事制度や社労士やら応用行動分析学の研究やら猫やら馬やら庭やらで毎日過ごしています。

自律型社員の育成、その7。最終ステップ「たまに褒める」。

2020/03/30

我が家のプチガーデニングシリーズ、
その2は紫陽花です。

 

 

 

今日は大雪でしたが、
鉢植えですので、軒下にちょっと退避。

 

今のところ元気に育ってくれています。
よしよし。

 

さて、本題です。

 

自律型社員の育成、その7。最終ステップ「たまに褒める」。

 

 

③「フィードバック」を減らしていき、
「連続強化」から「部分強化」に変える

 

○「たまに」褒められるようにしていく

 

3ステップの最後、
今度は「C:結果」の方も、徐々に減らしていきます。

 

「連続強化」から「部分強化」への移行です。

 

 

3ステップのうち、この「「フィードバック(C)」を減らしていき、
「連続強化」から「部分強化」に変える」は、
もしかしたら実施しなくてもいいかもしれません。

 

提案してきたら、毎回褒める。

 

「自律型社員」の育成だけを考えたら、
別に毎回褒めることはなくさなくともいいはずです。

 

良いフィードバックに溢れた、
やりがいのある職場なわけですから。

 

では、なぜ、この「C:結果」を徐々に減らしていくことをするのか、
それは「部分強化」の方が、よりたくさん、より継続して行動をするようになるからです。

 

○部分強化がもたらすもの

 

連続強化から部分強化(たまに褒められる)にしていくと、
褒められないときに、行動しなくなってしまうことに、
抵抗力がついてくるようになります。

 

これを、ABA(応用行動分析学)では、
「消去抵抗」といいます。

 

良い結果(好子)が、出てこなくなると、
それまで強化されていた行動は、やらなくなってしまいます。

 

しかし、毎回必ず良い結果(好子)が出てきたときに比べ、
出たり出なかったりするときのほうが、
行動をしなくならずに継続するのです。

 

なかなかわかりづらいかと思いますが、
そんなときは例で考えてみましょう。

 

・子どもが、お菓子を欲しいとねだると、
毎回お菓子をお母さんが買ってくれた。
しかし、ある日から全く買ってくれなくなった。
一時的に、何度もねだったが、その後諦めてねだらなくなった。

 

・子どもが、お菓子を欲しいとねだると、
お母さんは買ってくれる時と買ってくれない時とがあった。
そのうち、何度ねだっても、買ってくれない時期が続いた。
もっとねだれば、買ってくれるだろうと思い、子どもはねだり続けた。

 

ABA(応用行動分析学)は、古くからの学問ですので、
どれくらいの間隔で、好子を提示したら行動が継続するのか、
やめてしまうのかという実験データがたくさんあります。

 

その実験の結果、連続強化に比べて、
部分強化の方が、行動は継続することが分かっており、
これはABA(応用行動分析学)の中でも、中心的な重要な原則です。

 

一般的な言い方をすると、
それまで当たり前に必ず出ていたものが、
出なくなると、諦めも早くなるということ。

 

【連続強化からの消去】 → 消去されやすい

 

・ボールペンのインクが出ていた → 出なくなった 
→ 使わなくなる

・毎回メールの返信があった → ある日全く来なくなった
→メールを出さなくなる

・必ず映っていたTV → つかなくなった 
→ 使わなくなる

 

【部分強化からの消去】 → 消去されにくい

 

・ボールペンのインクが出たりでなかったり → 今日は出なくなった
→ もう少し粘って使う

・メールの返信があったりなかったり → しばらく来なくなった
→ 次はもらえるかも・・・とまたメールを出す

・たまにつかない調子の悪いTV → つかなくなった 
→ つくまで何度も試してみる

 

このように、良い結果「C:好子」が、
当たり前のように毎回出ているときは、
出なくなったら、もう終わりというように消去されやすくなります。

 

一方で、元々出たり出なかったりの経験をしているので、
今は出ないけれども、次こそは、とか、
もっと粘れば出るかも・・と行動はより継続するのです。
(実際には、どう思っているかは重要ではないですが)

 

○行動を習慣化させる

 

この部分強化という仕組みも、
いわゆる人材育成が得意な上司は、自然とできたりしています。

 

毎回褒めるわけではないけれど、
そろそろかな、というタイミングや、
同じ行動でも、より質の高い行動であったときに間髪入れずに褒める。

 

すると、部下は、やっぱり見てくれていたんだ、
頑張ってやった甲斐があった、と次の行動への動機付けになるのです。

 

アメの使いどころ、というような感じでしょうか。

 

褒める、という良い結果は、
いきなり全く無くしてしまうと、
せっかく強化していた「提案する」という行動をしなくなってしまいます。

 

徐々に、毎回ではなく、
たまには褒めないときをつくってみましょう。

 

部下は、「あれ?」という感覚になり、
「もっと良い提案でなければだめなのか」とか、
「もっとたくさん出さないとだめなのか」となってきます。

 

ここで、頑張って提案してきたら、
今まで以上に大きな承認で褒めてあげる。

 

少しずつ、減らしていくことで、
消去抵抗が強くなってきます。

 

しかし、全く褒めることをしなくなると、
いつの日か行動は消去されていきます。

 

「たまのアメ」は、必ず出せるようにしておきましょう。

 

今回も長めのブログ、
最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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