榎本あつしのBLOG(人事制度の学校・評価をしない評価制度・A4一枚評価制度とABA:応用行動分析学)

人事制度や社労士やら応用行動分析学の研究やら猫やら馬やら庭やらで毎日過ごしています。

「にんじんぶら下げモチベーション」の功罪。

2021/03/23

メルカリでぽちっとした球根が届きました!

 

八重&房咲きの水仙。

 

もう花は終わっていますので、
来年に向けての球根獲得です。

 

ちょっと育ててみます。

 

 

・・・ネギだよね。

 

 

さて、本題です。

 

にんじんぶら下げモチベーション」

 

ネギではなく、ニンジンの話。

 

いや、ニンジンの話ではなく、
モチベーションの話です。

 

「人事評価制度でモチベーションを上げたい」という話は、
とてもよく聞かれます。

 

人事評価制度をしっかり運用することで、
従業員のモチベーションにつながる、ということも、
当たり前のように言われることです。

 

しかし、ここで要注意。

 

「人事評価制度でモチベーションを上げる」=「ニンジンをぶら下げる」

 

と思っていたとしたら、
これは大きな「間違い」なのです。

 

・これだけの点を取ったら、ボーナスがこれだけもらえる
・こんな評価を取ったら、来期の給与はいくら増える

 

もし、人事評価制度でモチベーションを上げるということを、
このように賞与や給与などの条件を事前に示すことで、
やる気を出してもらおうと思っているとしたら、それはとても危険です。

 

これは、いわゆる「ニンジンぶら下げる」行為であって、
そのとき一時的には、やる気が起こるかもしれませんが、
副作用・デメリットが大きすぎます。

 

従業員は「お金」に条件付けされることになり、
働く目的が、そちらに大きく傾くことになってしまうのです。

 

有名なグリーン&レッパーの実験というものがあります。
幼稚園児を使った実験で、
アメリカのマーク・レッパー、デイヴィッド・グリーンが、
1970年代に行ったものです。

幼稚園児をABCの3つのグループに分け、
それぞれ別の部屋に移動する。
部屋にはクレヨンと白紙の画用紙を置いておく。

●Aのグループには最初に「絵を描いたらご褒美を上げるよ」と伝えて、
描いた子どもにはご褒美をあげる。(報酬期待群)

●Bのグループには何も伝えずに、絵を描いた子どもにサプライズでご褒美をあげる。
(報酬無期待群)

●Cのグループは絵を描いてもご褒美はあげない。(無報酬郡)

この3グループで、子どもが実際に絵をどのくらいの時間描いていたのか、
1回目とそれから2週間後の2回目と実施する。
すると面白い結果が出た。

 

 

ご褒美をあげると伝えた、Aグループ(報酬期待郡)の子どもたちが、
一回目には一番長い持間、絵を描いていました。

 

ところが、二回目では、Aグループでは、
絵を描く時間が極端に減ってしまうのです。
(半減)

 

対して、ご褒美があることを伝えずに、
サプライズでご褒美がもらえたBグループ(報酬無期待郡)は、
一回目よりも二回目の方が絵を描くことに取り組む時間が増えたのです。

 

ご褒美自体がないCグループ(無報酬郡)では、
一回目はBグループとほぼ同じデータ、
二回目はBグループよりも少し低くなりましたが、
Aグループよりも倍ぐらい数値が高くなっています。

 

Aグループでは、「ご褒美がもらえる」ことのために、
行動したということで、きっかけとしては一番多く最初の行動を引き出しています。

 

しかしその反面、ご褒美が条件として働いてしまうので、
二回目以降、自分から行動するということが減ってしまいます。

 

何もしなければ、Cグループだったはずなのに、
ご褒美を条件にしてしまったがために、
逆に絵を描くことへの取り組みが減少したわけです。

 

●会社・組織においては、まだまだ活用できていない部分が多い

 

現代の子育てや子どもの教育の世界では、
このように先に条件付けすることはNGで、
できるだけ避けましょうということが、すでに常識になっています

 

・「お風呂洗いしたら、お菓子を食べてもいいよ」
・「毎日勉強頑張ったら、お小遣い上げるよ」

 

このように、条件でモチベーションを上げようとすることは、
「お菓子」や「お小遣い」が目的で行動するようになってしまうのです。

 

そのため「お風呂洗い」は、
お菓子がもらえるという条件がないとやらなくなってしまう、
テストで良い点取るのも、お小遣いがもらえないとなったら、
やらなくなってしまう。

 

本来は「お手伝いすること」「勉強すること」自体に、
モチベーションを持ってもらいたいはずなのに。

 

子育て、学校などの世界では、
にんじんぶら下げ方のモチベーションの上げ方は前世代的で、
いまは「やってはいけない」やり方となりつつあります。

ところが、会社・組織の世界ではどうでしょうか。

一昔前に比べれば、人の心理や行動の研究も進んできて、
このような報酬を使ってのモチベーションは弊害が多い、
といわれることも増えてきました。

しかしながら、いまだにこのような前世代的なモチベーションの上げ方が、
当たり前のように使われていることが多いのが実態です。

「評価と給与・賞与を明確に連動させることで、
従業員のモチベーションを上げましょう」

「オープンな等級表を作って、どれだけ頑張ればどのような処遇になるかがわかると、
モチベーションは上がります」

これらの話が、いまだに多く聞かれます。

確かに、その話を聞いた限りでは、
従業員のモチベーションが上がりそうな気はします。

 

そして、実際に最初の何回かは上がることでしょう。

 

しかし、その上がるモチベーションが、
継続させていけるものなのかどうか、
そして、どの方向を向いているモチベーションになるのか、
そこを間違えないようにしてほしいのです。

 

本日の日課 60点(いろいろとピンチな感じです。乗り切って休もう)
(日課とは、オリジナルで作製した「行動アシスト手帳」に書かれている毎日やる25項目のうち、何項目やったかを点数化したものである。どんな項目かはナイショ)

 

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