ABAって何?


↑私がABAについて解説している動画です(約30分)

ABAApplied Behavior Analysis)とは応用行動分析学の略称で、社会的に重要な行動の変容をメインに据えた心理学です。
ただし、心理学と言っても、メンタリズムではなく、具体的行動が対象です。
行動の予測と制御を目的とし、目の前の組織や人の問題解決を行います。
私のコンサルやコーチングなどはこの学問に基づいて行っています。
ABAの特徴として以下の3点が挙げられます。

①心を原因にして個人を責めない

人が何か行動する/しないとき、一般的には心に原因を求めます。
例えば、報連相しない部下がいて、その部下にいくら注意しても効果がないとき、

「あの人は注意してもきかない性格だから」
「意志が低いから」
「マイペースだから」

などと、心的なものがあり、それが行動に影響を与えているのだと思ってしまいます。

しかし、これには問題解決につながらないことと、個人攻撃してしまうという大きな2つの問題があります。
心のせいにしてしまうと、心を何とかしようとしますが、それは現実的ではありません。
また、意思が低いとしてしまうと、意思が低いその人が悪い!行動者本人が悪い!と攻撃してしまいがちです。
これでは、心のせいにして攻撃してしまい、問題が解決しないからまた心のせいにしてしまうという、悪いループに陥ってしまいます。
対してABAでは、問題の原因が心やその人個人にあるとは考えません。
その人とその人を取り巻く環境とが上手くマッチしていないからだと考えます。

そして、どういう工夫や環境変化を起こしたら行動が変容するかと考えます。
行動する前には何があるのか、ないのか。どういう工夫や補助があるのか。行動するにあたってのコストはどうか。情報や道具は十分か。
行動した後にはどうなっているのか。どういう声替えやフィードバック、感触、視覚変化があるのか…
これはまだ一部の例ですが、このように丁寧に分析していき、改善策を導入していきます(介入するといいます)。
ただ、これだけで終わってしまっては、介入者が一方的に分析し、案を出しているだけです。
そこで、ABAでは実際の行動事実に基づき、分析・介入を行います。

②目の前の行動データに基づく

ABAは主観や経験則ではなく、科学的・客観的な分析と問題解決を行います。
そのために、行動データを非常に重視します。
現在、変容したい行動がどのくらい起きているのか、介入したあとはどう変化したのか。

「うまく変化したのであれば、このまま続けていこう。変化しない、もしくは悪化しているならば即時に介入を中止して、別の介入にしなければ…」と考えます。

実際の行動データに基づいて、リアルタイムで介入の導入を検討します。
そして、行動データは目の前の事例にこだわります。
一般的なデータや平均的にはどうかではなく、あくまで目の前の組織や人が現状と介入後でどうなのかに注目します。
統計学的に意味のあった過去の集団データは確かに重要ですが、それが今回の問題に役立つかはまた別の話です(もちろん、事前知識として知っておくことは大事です)。
目の前のデータを重視し、それに基づき介入を行い、介入後も分析することで、思い込みや経験則を排除した問題解決ができます。
また、問題解決したかの基準は行動データという事実に基づくことで、介入者・問題とされている本人や組織・関係者の3者が皆同じ状況を共有し、問題の現状について解釈がバラバラになりません。

③実践的である(解釈ではなく改善を)

ABAでは、ただ学問としての知識だけではなく、現実の問題解決を重視します。
問題解決したかにコミットして、解決するまで介入していきます。
魔法ではないので、やる前から絶対に100%この方法がうまくいく、なんてものはありません。
行動を取り巻く環境を1つ1つ丁寧に検証し、どうしたらうまくいくか考えていきます。
ある種実験的に、探索的に、チャレンジングに、丁寧に、問題解決する。

「問題や行動の解釈ではなく、改善に取り組む」のがABAです。

冒頭でも述べた通り、ABAは応用行動分析学の略称ですが、単なる分析家ではなく、問題解決家です。
ただ難しそうな知識や理論、分析をしてお話や文章で終わることなく、実際に行動変化を引き起こして問題解決やパフォーマンス向上することが産業場面でのABAです。

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