ABA(応用行動分析)では、行動データをとても重要視します。

介入を続けるべきか、変更すべきかの判断も行動データに基づいて行います。

ABAで扱っている多くの行動データは、その他の多くの心理学と比べて測定方法が異なります。

一般的な多くの心理学研究では、1時点での集団が対象です(例えばアンケートや質問紙調査など)。

ABAで主流な方法はこれと異なり、同一の人物、組織を対象に連続的に何回も測定します。

なぜ連続的に繰り返し測定するのか?

「めんどくさいし、労力もかかるじゃん」

と思ったあなた、確かにそのデメリットはあります。

一方で連続的に測定することのメリットもあります。

プレゼンでグラフを見せる男性

①傾向を加味できる

集団を対象に1時点での比較をすると、もともと増加/減少傾向であったら効果がわからりません。

例えば、

今年入学したばかりの高校1年生100名にテストをしたら平均40点でした。

その後超一流と評判のX教師に3ヶ月放課後特別授業してもらいました。

またテストをしたら平均60点に向上していました。

この得点差は統計的にも有意な差でした。

さてこのX教師は学力向上させたと言えるでしょうか?

答えは「わからない」です。

そもそも入学したばかりの時点では学力が低いのは当たり前で、これから勉強して向上していきます。

つまり、この例の対象者はもともと学力が増加傾向であったことが大いに考えられるので、X教師が原因とは言い切れません。

ですが、これも連続的にデータを取っていると傾向を含めた分析が可能です。

 

②連続してデータを取ることで、リアルタイムで介入方法を検討できる

私的には、実践を行う上でこれがかなり大きなメリットだと思っています。

会社や組織を成長させるために、ある戦略をとったとしても、

「これで本当に良いのだろうか?効果出てるのかな?」

という疑問があります。

このときに、その戦略を取る前のデータを連続的に取っていると、その後の変化がわかります。

そして、変化が見られない、もしくは悪化しているならば、すぐ別な戦略に切り替えられます。

これがデータに基づく意思決定です。

データを無視してしまうと、個人的な主観や経験則に頼らざるをえません。

こういわれると当たり前かもしれませんが、主観や経験則に頼っている企業がいかに多いか…。

 

具体的な行動データを連続的に測定することは、このようなメリットがあります。

なんでもかんでも測定すればいいわけではありませんが、重要なことはデータに基づく意思決定を考えましょう。

ではまた。

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