榎本あつしのBLOG(人事制度の学校・評価をしない評価制度・A4一枚評価制度とABA:応用行動分析学)

人事制度や社労士やら応用行動分析学の研究やら猫やら馬やら庭やらで毎日過ごしています。

ボーナスや業績では行動を強化できない?

関東ではありますが、台風の影響はあり、
帰りの電車(中央線)で、1時間半ほど遅延。

 

けっこうなギュウギュウな空間で、
過ごしました。

 

明日の朝まで、結構ぎっちりな資料を作らねばならなのですが、
さあ、どうしましょう。

 

どうしましょう。

 

ブログ書いてないで、
仕事すれば良いですね。

 

 

さて、本題です。

 

★ボーナスや業績では行動を強化できない?

 

行動の後に良い結果があると、
行動は強化されて繰り返される、という原則。

 

たまに次のような質問をいただきます。
(特に経営者の方などに)

 

次は、ある社長の声です。

 

---------------------------------------------------------

 

人の行動は、やる気や意志の力で決まるものではない、
というABA(応用行動分析学)の考え方は、
まあ、なんとなく分かってきた。

 

行動は、その前後の環境によって、
制御されている、という理屈も、例などを見ると分かる。

 

おいしいパンケーキが出れば、
また注文するようになるし、
まずければ、もう注文しない。

 

つまり、行動した後の結果に「好子」が出ると強化される。

 

じゃあ、「頑張って良い仕事した」としたら、

 

「ボーナスが増える」
「出世できる」
「評価が上がる」
「契約が増える」
「売上が上がる」
「利益が出る」

 

こんなにたくさん、良いことが起こるのに、
どうして、自らすすんで仕事をしないのか。

 

---------------------------------------------------------

 

ここまで。

 

さて、賢明なる貴方は、
この社長の質問に、どのように回答しますでしょうか。

 

ポイントは時間と確率を見る、ということ。
その結果は、「すぐ」か「確実か」という点です。

 

実は、「好子」は行動を強化するものではありますが、
それは「直前の行動」を強化するのです。

 

動物のトレーニングをする場合は、これは絶対で、
お手をした「直後に」音を鳴らしたり、エサを出したりすることで、
お手が強化されます。

 

タイミングが遅れて、
お手の直後のエサを出すのがまごついて、
横を向いた瞬間にエサを出してしまうと、
一生懸命、「横を向く」ようになります。

 

ましてや、お手をした次の日にエサを上げても、
なんの影響も与えられません。

 

とは言っても、
人間は動物とは違い、「意味のある言語」を持っています。

 

あのとき頑張ったご褒美のボーナスだ、
ということは、一応理解はできます。

 

しかし、行動に与える影響は直後の結果に比べると、
はるかに薄まってしまうのです。

 

先程の結果の例、
「すぐ」か「確実」かの目線でもう一度見てみましょう。

 

「ボーナスが増える」
「出世できる」
「評価が上がる」

 

 

 

今仕事を頑張って、これらの結果が出現するのは、
やはり、かなり遅そうです。

 

しかも、会社の業績や上司の感覚などにより、
確実さもあまりなさそうです。

 

その他の3つはどうでしょうか。

 

「契約が増える」
「売上が上がる」
「利益が出る」

 

これは、よくよく考えてほしいのですが、
会社や社長の立場だと、確かによいこと、
「好子」であることは間違いありません。

 

しかし、一社員にとっては、
本当に好子でしょうか。

 

 

長い目で考えると、利益が増えれば、
給与として還元されてくるから、
と言われるかもしれませんが、
これも「遅く」て「不確実」です。

 

正直なところ、一社員にとっては、
あまり直接的な好子ではないのです。

 

そして、実は「頑張って良い仕事した」ら、
これ以外の結果も出現するのです。

 

「もっとやることが増える」
「時間がなくなる」
「疲れる」
「残業が発生する」

 

これらは、どちらかといえば、
行動を減らす「嫌子」ですね。

 

こちらの方が「すぐ」で「確実」な気がしませんでしょうか。

 

 

いくつかの結果が出現する中で、
行動を弱化する結果が勝ってしまっているのです。

 

そして、周りの社員を見て、つぶやくのです。
「・・・頑張らないほうが、得なんじゃないかな」

 

一見、経営の目線から見た好子は、
働く本人にとっては、その機能がない(好子)ではない場合が多くあります。

 

ここから学ぶことは、
「すぐ」で「確実」な好子を出現させること。

 

頑張っていたらすぐに褒める、評価する。

 

遠い結果であったら、
点数やグラフ化などの工夫をして、
現状での結果の変化を見せる。

 

そして何より、
本人にとって、本当の好子なのかどうかを、
ちゃんと見ていく。

 

ぜひ、社員の行動を強化できる経営者、上司になっていきましょう。

 

※参考文献
「パフォーマンス・マネジメント ~問題解決のための行動分析学~」
(島宗 理著 米田出版)

 

 

本日の日課 52点(ああ、もうパニック寸前)

(日課とは、オリジナルで作製した「行動アシスト手帳」に書かれている毎日やる25項目のうち、何項目やったかを点数化したものである。どんな項目かはナイショ)

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