「心をすっ飛ばす」。
そう、キングクリムゾ・・・
さて、本題です。
★「心をすっ飛ばす。」
ABA(応用行動分析学)が、
なかなか一般的に伝わりにくい理由として、
「心の中を見ない」という点があると思っています。
例えば、「あいさつをする」という行動。
小さい子で、
このあいさつが習慣化することを分析すると、
ABA(応用行動分析学)的には、下記のようになります。
A:先行条件
「前に隣のおじさんがいる」
↓
B:行動
「『おはようございます』とあいさつする」
↓
C:結果
「『おはよう!偉いね!』と言われる」
この小さい子は、またおじさんに会う時に、
あいさつを自分からするようになりました。
「あいさつの習慣化」です。
これを、行動分析すると、
「好子出現による強化」となります。
あいさつという行動をしたら、
良い結果が出現したことで、
そのときの「あいさつ」という行動を繰り返すようになるのです。
ここで、よくある質問。
と、いうか、ご意見。
「あいさつを返してもらって、嬉しかったから、またあいさつするようになる、ということですね。」
いえいえいえいえいえいえ。
そこが違うのです。
いや、違わないかもしれませんが、
違うのです。
ABAでは、「嬉しかったから」という、
心の中は見ないのです。
ここをすっ飛ばすのです。
そう、まるでキングクリムゾ・・・。
すごく嬉しかったのかもしれませんし、
そんなでもなかったかもしれませんが、
それはどちらでもいいのです。見ないのです。
「あいさつを返された、偉いねといわれた」という事実があり、
その後、「自分からあいさつするようになった」という事実だけでいいのです。
ABA(応用行動分析学)は、
良い意味でも悪い意味でも、
行動に特化した科学です。
そこに、「喜んでもらおう」「嬉しい気持ちにさせよう」、
そして行動してもらおう、とは考えないのです。
もし、何かしらの褒め言葉を与えたとしても、
行動が増えなかったら、
「喜ばなかったからだ」とか「嬉しくないのか」などとも考えません。
感情は、もちろんあるのでしょうが、
これを考え出すと、
うまく行動してくれるときは「嬉しいから」となり、
行動してくれなければ「嬉しくないから」と、
いくらでも結果論で、片付けられてしまうのです。
そして、ABA(応用行動分析学)は、
行動を変えることを目的にしています。
「喜ばせること」
「嬉しく思わせること」
を目的にはしていません。
なにかしら、
結果に好子を用意することで、
「好子出現による強化」を使って、
行動を変容させる介入を取ることがあります。
ここで、褒め言葉より抱きしめたほうが喜ぶだろう、とか、
100円より1000円の方が嬉しいだろう、とか考え出すとうまくいきません。
やりたいことは、行動を変えること。
例え小さい価値の好子や、
たいしたことのない反応であっても、
それで行動が変わるのであれば、それが正解なのです。
大事なのは、決めつけずに、
ちゃんと行動が変わっていくかどうかを観察すること。
そのためにも、測定や記録は大事になってくるのです。
★おまけ
今回の話は、あくまで機能としての行動分析を使う考え方です。
決して、心の中を否定しているわけではありません。
それを原因にするのではなく、
環境の変化(結果の変化)が、
その後の行動との関係性がある、と考え、
それを行動変容に使っていくといいよ、ということなのです。
その結果、問題行動は減り、
望ましい行動が増えるのであれば、
ABA(応用行動分析学)は、ツールとしてとても有効なのではないでしょうか。
本日の日課 60点(次回はムーディー・ブルースッ!!!)
(日課とは、オリジナルで作製した「行動アシスト手帳」に書かれている毎日やる25項目のうち、何項目やったかを点数化したものである。どんな項目かはナイショ。)