「なんでこんなこともやらないのかな」

周りの人にこう思った方も多いのではないでしょうか。

やって欲しいことをやらない部下に困っている方も多いです。

ひどいと最近では部下に指示しても、

部下「それって強制ですか?パワハラですよ」

と言われたり…。

実際こう言われると腹たちますが、落ち着いて行動分析の観点からなぜやって欲しい行動をやらないのか考えていきましょう。

どこでつまづいているのか

行動しない要因は意思ややる気の問題ではありません。

要因は主に以下の3つです。

①そもそも知らない(情報不足)

②知ってるけどできない(スキル不足)

③知ってるしできるけどやらない(強化不足)

この3つのうちどこでつまづいているから、行動しないのかチェックしましょう。

行動しないという事態に不満や文句を言っても改善には繋がりません。

①~③の中で、つまづいている段階を見つけ、サポートする必要があります。

「どんな願いごとも3つ叶えてしんぜよう」[モデル:鈴木秀]

①そもそも知らない

1つ目の要因は求められている行動やその行動のやり方を知らないことが考えられます。

行動に関する情報不足・知識不足と置き換えても構いません。

いくらやって欲しい行動があっても、その行動を「やって欲しい」と相手に伝わっていなければ自発しにくいです。

また、そもそも行動のやり方を知らなければ行動できません。

例えば、会議で使うプレゼン資料を作って欲しいときに、

お願いした人が資料の作り方をわかっていなければ作りようがありませんよね。

プレゼン資料の作成を伝え、作り方がわかっているか確認する必要があります。

もし、この段階でつまづいているのであれば、

その行動のやり方を研修やモデル提示などで教える必要があります。

意外とこの第1段階でつまづいている場合が多いです。

指示する側はやって欲しいことについてよく知っているので、

「できて当たり前」になっていて、ロク様情報を与えないケースがあります。

ですのでまずは、やって欲しい行動について以下の情報を与えているか確認してみてください。

・やり方

・なぜやって欲しいか

・どう役立つのか

・どのくらいやればいいのか

②知ってるけどできない

第2段階は、適切な情報は与えられていて、その行動については良く知っているができないパターンです。

実行するスキル不足です。

どんなに良く知っていても、それを実践できるかは別問題です。

皆様も学生時代、テストで間違った箇所の答を見ると、

「あー、知ってたよー」

となった経験はありませんか。

他にも、いくらプレゼンのやり方をわかっていても、

プレゼン本番でうまく話せないなどもこれにあたります。

このように、実行にあたっては情報不足とは別の問題があります。

この場合は、ロールプレイやOJTなどの本番を想定したスキルトレーニングが必要です。

または、実際にやらせてみて、適切なタイミングで補助やヒントを与えるなども有効です(ABA的にはプロンプトといいます)。

いわゆるアウトプットの訓練ですね。

③知ってるしできるけどやらない

最後の段階はその行動ついては十分知っていて、実行するスキルも身についているのにやらないパターンです。

ここでありがちなのは、

「やれるのにやらないとはやる気不足だ!」

と行動の原因を個人に求めてしまうことです。

個人のやる気を原因にしても、解決には結びつきません。

この段階でやるべきは強化が起こる仕組みづくりです。

ここでも良くある例を一つ紹介します。

仕事の報告をしない部下Zがいます。

Zは報告のやり方も知っていますし、実行するスキルもあります(①と②クリア)。

しかし、上司に「仕事終わりました」と報告すると、

「そうか、じゃあ次はこれお願いね」

と言われる。

この環境では報告する行動はやらなくなります。

仕事終わる→報告する→仕事追加

これでは、仕事そのものが強化的(楽しい、嬉しいなど)である珍しい人でなければ行動しません。

ではどうすればいいのか。

シンプルに、やって欲しい行動を強化するような仕組みづくりをする必要があります。

強化については今回の本題ではないので、わからない方はこの辺を参考に↓

褒めれば行動は伸びるのか?―正の強化について―

見極めが重要

ここまで、行動しない理由とその改善策ついて、①~③を紹介しました。

どの段階でつまづいているのか分析し、それに合った改善策を導入しましょう。

いくら行動したら強化的な環境を作っても、そもそもの情報不足やスキル不足で行動できなければ意味ありません。

強化不足なのに、研修を何回もやらせたりOJTをやらせても意味ありません。

小手先のノウハウやテクニックではなく、個々のケースごとに一つ一つ分析し、導入、検証のサイクルこそが問題解決の近道です。

どの段階かわからない場合は、①から一つずつステップ式に改善策を導入して、行動がどう変化するか(あるいはしないのか)検証していきましょう。

まさに急がば回れです。

ではまた。

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