行動分析で最重要と言ってもいい正の強化(好子出現による強化ともいう)。
行動分析の世界では、この正の強化が最も推奨されます。
(負の強化や弱化よりも)
私も、初めて行動分析を学ぶ人に応用のやり方を伝えるときは、正の強化を推奨します。
しかし、私の伝え方が悪く、正の強化を「エサで釣っている」と伝わってしまうことがあります。
なので改めて、行動分析の基礎中の基礎である正の強化について説明したいと思います。
正の強化とはなんぞや
正の強化・・・行動した直後に何らかの刺激が出現したり、増加したりすることで行動が増えること。
その刺激のことを強化子(または好子)という。
こんな感じです。
「この強化子がエサやご褒美のことではないか!」
と思うかもしれません。
確かに、子供が勉強した直後にお金をあげて、勉強する行動が増えたら、正の強化となります。
そして、この場合はお金が強化子ですね。
しかし、あくまでこれは一例であり、強化子=お金ではないのです。
ましてや強化子=ご褒美をあげることでもありません。
この辺は以前の記事に書いたので、よければ見てください⇓
今回伝えたいのは、強化子とは形あるものに限らないということです。
家に帰って電気をつけるという行動は「電気がつく(光の出現)」という強化子で強化されています。
先程の勉強の例でも、ご褒美をあげなくても、「白紙だった解答欄が文字で埋まっていく(解答欄に文字出現)」という強化を受けるかもしれません。
ようは形があろうがなかろうが、行動した直後に出現して行動が増えたら強化子というのです。
逆に、エサ(ご褒美)をあげても行動が増えなかったたら、たとえそれがその人の好きなものでも、1億円でも強化子ではありません。
行動も強化子になる
強化子として何が使えるのかはその個人によって異なるのですが、強化子を見つけるヒントはあります。
最後に、皆様が強化子のアイディアを少しでも多く思い浮かぶように、プレマックの原理をお伝えします。
まずは定義から
プレマックの原理・・・行動頻度の高い行動は行動頻度の低い行動の強化子となる
これだけだとピンとこないので、日常の例で考えましょう。
勉強が嫌いで、自分からはめったに勉強せず、ゲームばかりする子がいます。
この子に、勉強した後にゲームをしてもいいとすると、ゲームをする行動(高頻度)自体が強化子となり、勉強する行動(低頻度)が増えるというものです。
このように、プレマックの原理は行動自体も強化子として使えることを言っています。
これは、強化子を用意するときに役立ちます。
普段からその人を観察し、多く行う行動(高頻度)を見つけ、その行動を身に着けさせたい行動(低頻度)の後に用意すると効果的です。
身に着けさせたい行動に特別なご褒美を用意しなくても、普段からよく行う行動を見つければいいのです。
これも、先に書いたように、形あるご褒美ではありませんが、強化子として機能します。
やはり、強化子=一派的なご褒美(形ある物)
ではないわけですね。
「強化」理論はとてもシンプルですが、奥が深い…
あ、ちなみに今回は強化としてプレマックの原理を紹介しましたが、行動の順番を逆にすると弱化としても使えます。
低頻度行動→高頻度行動 強化
身に着けさせたい行動(低頻度)を増やすときに使える。
高頻度行動→低頻度行動 弱化
問題行動(高頻度)を減らすときに使える。
色々と詰め込みましたが、今回の内容をまとめると、
・強化=エサで釣ることではない
・プレマックの原理に基づけば、行動も強化子(弱化子)として使える
ということです。
ではまた。
Yu
最新記事 by Yu (全て見る)
- 行動科学的に満足度の高い職場づくりを実現する - 2024年1月9日
- 本紹介 - 2021年7月6日
- パフォーマンスを向上させる目標設定とは - 2021年3月8日