3つの評価者スキルその3。「評価コメントのスキル」。
2018/02/03
ショートショート「エンジントラブル」。
旅客機に乗客が乗り込んだ後、
しばらくたっても出発しようとしませんでした。
1時間ほど過ぎた頃、
機長からのアナウンスが流れました。
「こちらは機長です。本機はエンジンにトラブルが見つかりました。
大変ご迷惑をおかけいたしますが離陸は中止いたします。」
それを聞いた乗客たちは、
散々待たされたイライラもあり、
口々に「ふざけるな!」「どうしてくれるんだ!」と叫びました。
騒然として収まりません。
再び機内アナウンスがありました。
「じゃあ、飛びます。」
さて、本題です。
3つの評価者スキルその3。「評価コメントのスキル」。
今日のテーマは、以前にお伝えした「3つの評価者スキル」のうち、
最後のひとつ、
「評価コメントのスキル」
を、お伝えします。
評価のスキル、ではなく、あえて評価「コメント」のスキル。
ここがポイントです。
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★3つの評価者スキルその3。「評価コメントのスキル」。
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人事評価は、期の中のスケジュールで、
「目標設定(期初)」⇒「期中の観察」⇒「評価(期末)」
と、大きく3つ、やることが出てきます。
そして、それぞれに「評価者のスキル」が必要になります。
今日はそのうち最後のひとつ、
「評価コメントのスキル」について、お伝えしていきます。
早速、具体的にみてみます。
・どうしてこの評価点なのか?を、明確に伝えられているか。
・人間性を評価するのではなく、行動・事実を評価できているか。
・求めるもの、足りなかったものを、明確にコメントできているか。
・次期は何をしたら評価されるのか、具体的な指示ができているか。
このように、「評価のスキル」は「評価コメントのスキル」と、
限定しても良いくらいでしょう。
本人評価と上司の評価が異なるとき、
特に低く評価点をつける際に、
明確に自信をもって伝えられるかどうかのスキルです。
とはいっても、そんなに難しい訳ではありません。
徹底して、「行動・事実」で伝えられているかどうかがポイントです。
人事評価は「評価点」をつける権限が上司に与えられています。
しかし、「人間そのもの」に評価をして良いわけではないのです。
生まれた年齢、入社歴、立場、仕事の能力などが違うだけあってで、
同じ尊厳のある人間です。
「おまえはダメなヤツだ」
などのように、人間性そのものを評価することなんて、
本当は誰にもそんな権限は与えられていないのです。
ただし、「期間の行動・事実」ができたかどうか、
その出来栄えはどうだったか、
に関しては点数を付けられる権限が与えられています。
これは思う存分やってほしいのです。
よく、評価者の人たちのミーティングに参加することがあり、
その中で評価スキルの高い人、
まだまだな人の発言の違いが分かることがあります。
「あいつはやる気が無い。」と言う上司と、
「やり切らない仕事が○○と○○と全部で5つほどあった。」と言う上司です。
前者は人間性で表現してしまっていますが、
後者は同じことを事実で表現しています。
こんなとき、いつも次のようにお伝えしています。
「上司が部下を評価するとき、イメージで評価してしまいます。
実はこれ自体は間違いではありません。
まあ大体、部下のイメージの評価は合っています。
A君はやる気が無いがB君はやる気がある。
ということは大体間違っていません。
しかし、それをそのままコメントしてしまうか、
なぜやる気がないと感じるのかの事実を見つけて、
そこを指摘できるかのスキルなのです。」
このように、部下の印象評価は大体あまり間違ってはいないことが多いです。
しかし、なぜ「やる気がない」と思うのかをよく考えてほしいのです。
そのように思うのは、そのA君の普段の発言や行動を見ていて、
そう感じているからのはずです。
その普段の発言や事実の何がどうだから、
やる気がないと感じるのかを見つけ出してほしいのです。
「提出物の遅れが多い」のか、
「指示した仕事を終わらせていない」のか、
「挨拶をしない」のか、
「難しい仕事を依頼すると、すぐできませんという」のか。
このような事実があるという状態を言葉でまとめたものが、
「やる気がない」という表現です。
「やる気がない」と上司に指摘されても、
すぐに「はいその通りです。」納得する部下はいません。
立場があるので反論はしてきませんが、
心の中では「自分なりに頑張っているつもりだ。上司は分かっていない」
などと不満を募らせているのです。
主観的な言葉で指摘すると、このように、
お互いに不満ばかりが増えてしまいます。
事実で指摘できるスキルを身に付けていきましょう。
事実で評価できると、もっと良いのは、
「指導が具体的になる」という点です。
「やる気が無い」と評価すると、
次の指導は「次期はもっとやる気を出しましょう」になりそうですね。
「危機感がない」ので、「次期は危機感をもって仕事に臨みましょう」
「積極性がない」ので、「次期はもっと積極的に」
このような指導のコメントをもらった部下が、
果たしてそのときから、何かしらの一歩の行動を起こすでしょうか。
「わかりました。頑張ります。」とは言うでしょうが、
何をいつから始めるのか、おそらくそれは考えていないので、結局何もしない。
毎年、「次期はもっとやる気を出しましょう」という繰り返しになりそうな気がします。
「提出物の遅れが多い」のであれば、「次期は提出物をすべて期限内に出そう」、
「指示した仕事を終わらせていない」のであれば、「次期は指示した仕事をしっかり完了させる」
というように、
評価が具体的にできていれば指導も具体的になり、
部下の一歩の行動も実際に引き出されるようになります。
「イメージ評価を具体的に」
コメントできるかどうかが、評価のスキルの重要なところなのです。
本日の日課 60点(つまり、評価者が目的を大事にしているかということ)
(日課とは、オリジナルで作製した「行動アシスト手帳」に書かれている毎日やる25項目のうち、何項目やったかを点数化したものである。どんな項目かはナイショ。)