解決策に飛びつかない。
ショートショート「逆走」。
ある老人がハイウェイを運転していた。
その時、妻が心配そうな声で彼の携帯に電話を掛けてきた。
「あなた、気をつけて。ルート280号線を逆走している狂った男がいるってラジオで言ってたわよ。」
老人は答えた。
「ああ、知ってるわい。さっき通り過ぎたわ。
でも、一台だけじゃないんだよ。何百台という車が逆走してるんだよ。」
さて、本題です。
〇解決策に飛びつかない。
ついつい、ABAマネジメントに慣れてくると、
途中の過程を飛ばして、「改善策に飛びつく」ということをしてしまいます。
実はこれでうまくいかないケースがとても多いのです。
(私もよくやってしまっていた失敗です)
例えば、次のような職場での問題があったとします。
「A上司は、いつも大きな声で部下のBさんを叱責している。職場の雰囲気を悪くするのでなんとかしたい。」
ここで、「上司は高圧的なタイプだ」として、
高圧的な性格を何とかしよう、というのは、
循環論での個人攻撃ですのでもちろんNGです。
そうではなく、ABAマジメントを身に付けた場合での改善だとしても、
つい経験則から改善策に飛びついてしまうのです。
「それは、部下が委縮するという結果が、上司の大声での叱責を助長しちゃっているね。
部下の反応を変えて、わかりました!と大きな声で答えるようにするとうまくいくよ。」
などと、してしまったりします。
しかし、部下にそのように振る舞うようにしても、
いつまで経っても改善できない・・・。
再度、しっかり分析してみたら、
「原因は叱責したあとの部下の反応ではなく、A上司の上長であるC部長の反応だった」
というようなことが良くあるのです。
上司Aが大きな声で叱責すると、いつもその後にC部長が、
「まあまあAくん。君は仕事への情熱がありすぎるよ。
部下より能力高いのだから、部下に降りて行ってあげないとね。」
と、いうようなことを言っていたのでした。
部下のCさんの反応が好子になって、A上司の叱責という行動を強化していたのではなく、
B部長の声掛けが好子であって、それが行動を強化していたのです。
経験則から、きっと部下の反応が原因だ、と勝手に決めつけてしまった失敗例です。
過去に実績があり、成功している方が陥りがちな失敗ですので、
決めつけずに、その場では何が起きているのか、しっかりと分析するようにしていきましょう。
本日の日課 52点(経験は大事ですが、原理原則も大事だと思っています)
(日課とは、オリジナルで作製した「行動アシスト手帳」に書かれている毎日やる25項目のうち、何項目やったかを点数化したものである。どんな項目かはナイショ。)