パフォーマンス・フィードバックで速度違反が減る?
2020/10/24
無理やりつけられて不満気味のあずきさんです。
そして君はサイズがあっていないよ。レオンくん。
さて、本題です。
パフォーマンス・フィードバックで速度違反が減る?
「評価をしない評価制度」の一番の特徴は、
評価をしない代わりに「パフォーマンス・フィードバック(P・F)」を用いる点です。
パフォーマンス・フィードバックとは、簡単にいうと「事実の振り返り」のこと。
良い・悪いなどの評価はせずに、行動事実を提示するだけなのです。
で。
弊社の社員の八重樫さんが、この分野の専門家。
日本にはこのような実証データが皆無ですので、
自らアメリカの専門誌を購読して研究しているという強者なのです。
おそらくビジネスの世界でやっているのは彼だけでしょう。
で。
「榎本さん、これ評価をしない評価制度の説明に使えそうですよ。」
と、もってきてくれたのがこの論文。
スピード違反を少なくする取り組みで、
単純に昨日、一週間などの実際のスピードを看板にして提示するだけで、
スピードが下がっているという実証データです。
JOURNAL OF APPLIED BEHAVIOR ANALYSIS 1980, 13, 383-395 NUMBER 3 (FALL 1980)
AN ANALYSIS OF PUBLIC POSTING IN REDUCING SPEEDING BEHAVIOR ON AN URBAN HIGHWAY
RON VAN HOUTEN, PAUL NAU, AND ZOPITO MARINI
MOUNT SAINT VINCENT UNIVERSITY
制限速度50kmと出ている標識の横に、
「スピード違反のドライバー 昨日は94%」
という、事実だけが書かれている看板を設置したのです。
すると平均走行速度以上のドライバーの割合で、
それぞれ74、66、58、51km/hrのスピードを出しているドライバーは、
7.5%、23.7%、64.7%、92.8%ほどいたのが、
1.5%、11.5%、44.8%、84%と下がってきています。
設置をやめると復活してまたスピードが上がり、
また提示すると下がっているというようなデータで、
繰り返していくうちにスピードの減少は維持されていくようになっています。
1980年代のかなり古い実験ではありますが、
今行われている各種のパフォーマンス・フィードバックの実験も、
ほとんどが同じような傾向(事実を提示→効果あり、提示なくす→戻る、を繰り返していくうちに維持されていく)になっているのです。
「スピード違反は~~」というようなスローガンだったり、
危険を示すイラストだったり、様々な工夫をして、スピードの出しすぎがないように取り組むのが一般的です。
また、警察が「ネズミ捕り」などで取り締まりを行ったりもしています。
もちろん、それらも効果はあるのでしょうが、
このように「事実の提示」だけであっても、行動は変わってきます。
メリットは、なんといっても低コストであること。
そして、すぐにできること。
これと全く同じ考えが、
「評価をしない評価制度」です。
会社、上司が人を評価するというのは、
多大なエネルギー、コストがかかります。
これを事実のフィードバックだけにして、
パフォーマンス向上につなげる。
非常に節約で、そしていまからでもすぐできる、
人材育成施策なのではないでしょうか。
本日の日課 60点(いつも有益な情報をくれる八重樫さんに感謝です)
(日課とは、オリジナルで作製した「行動アシスト手帳」に書かれている毎日やる25項目のうち、何項目やったかを点数化したものである。どんな項目かはナイショ)