アンダーマイニング効果。
2020/10/27
最近、肘と肩を人間のように使うようになってきたレオンくんです。
猫又までは、まだ18年必要です。
さて、本題です。
アンダーマイニング効果。
必死になって締め切り間近の原稿に取り組んでいますが(もういっぱいいっぱい)、
その中で取り上げた「アンダーマイニング効果」に関して書いてみます。
以前のブログでは、
「レッパーの実験」で説明させていただいています。
↓
今回は、別の実験を取り上げてみます。
同じくレッパーもちょっと絡んでいますが、
いわゆる「デシ」の実験です。
エドワード・デシは、1969年、
当時人気のあった「ソマパズル」を使って、
次のような実験をしました。
「ソマパズル」とは、7種類のブロックの組み合わせで、
いろいろな形(車や動物など)を作り上げるゲームをするパズルです。
デシは、このパズルを使って、学生たちに実験をしました。
まず、学生を二つのA、Bの2つのグループに分け、
それぞれ別の部屋でパズルに取り組んでもらいます。
この部屋の中には、パズル以外に雑誌や他のパズルなども置いてあります。
第1セッションでは、
どちらのグループも普通にパズルを解いてもらいます。
次に第2セッションで、
Aグループには、パズルを解いたら1ドルの報酬がもらえることを提示し、実際に解けたら1ドルもらえます。
Bグループは、何も伝えずそのままです。
最後に第3セッションでは、
元に戻し、何も伝えずに、普通にパズルを解いてもらいました。
全てのセッションにおいて、
パズルを2問出した後に、
試験官は部屋を8分間ほど離れ、その離れている間は、
何をしていてもいい、と伝えています。
そして、離れている間に、
自らソマパズルにどれくらい取り組むか、
その従事する時間を測定したのです。
第1セッションでは、
A、Bグループともに同じぐらい取り組んでいました。
第2セッションでは、
報酬が提示されたAグループは取り組む時間が大幅に増えました。
Bグループは条件が変わっていませんので、変化なしです。
そして、問題は第3セッション。
Aグループの学生たちは、
自らソマ・パズルに取り組む時間が第1セッションのときよりも大きく減ってしまったのです。
Bグループは、やはりそのままでした。
何もしなければ、
本来Bグループと同じになるはずです。
ところが、わざわざ報酬を提示してしまったために、
Aグループの学生たちを、
報酬を手にする「ために」パズルに取り組む人たちにしてしまったのです。
パズルに取り組むこと自体に面白さを感じていたり、
出来たことによる達成経験で、また解くという自発的行動が出ていた人たちを、
報酬の「ために」取り組む人にしてしまい、結果、報酬が提示されないと、
やらない人にさせてしまったのです。
何が言いたいかというと、
人事評価制度のお話です。
一般的に、これだけ成果を出せば、これだけ賞与が増える。
これだけ評価が高かったら、これだけ給与が上がる。
そのような制度にして、
動機づけを図りましょう。
と、いまだに多くいわれていて、
これが人事制度で大事なことです、となってしまっています。
私はこれを「ニンジンぶら下げ方モチベーション」と言ったりしています。
本来は、仕事をすること自体にモチベーションをもってもらいたいし、
仕事した結果、お客様に感謝された、自分が成長できた、というような、
成功体験が、また自ら仕事に取り組むという行動につながるのです。
それが、先ほどのように、
「これだけやったらこれだけ」ということをしてしまうと、
アンダーマイニング効果を引き起こしてしまい、
にんじんのために働く人ばかりを増やしてしまう危険性があるのです。
外発的動機づけ・内発的動機づけ
ただ、アンダーマイニング効果の話になると、
「外発的動機づけ」「内発的動機づけ」というキーワードがよく出てきます。
前者はダメで、後者が正しい、
みたいな話になりがちです。
が、ABA(応用行動分析学)的にはどっちだってよいよ、
知らんがな、になります。あまりその概念がありません。(個人的見解)
内発的か、外発的というような定義(これもあやふや)はどっちでもよく、
結果として、自発的行動を増やしているかどうか、が重要なのです。
やる気が上がったから、とか、内発的だから、
などのよくわからない、いくらでも取りようのある、
見えない要因にはしないのです(楽で簡単だけれどね)。
何かを変えたら、
行動が増えているのか、増えていないのか。
成果は行動の集積です。
そこをしっかりと追いかけていきましょう。
本日の日課 60点(しまった。長すぎた。)
(日課とは、オリジナルで作製した「行動アシスト手帳」に書かれている毎日やる25項目のうち、何項目やったかを点数化したものである。どんな項目かはナイショ)