「自己記録」の信頼性の低さは本当にデメリットか。
2021/02/05
実はあまり仲が良くない我が家の2匹。
黒猫のあずきが、
キジトラのレオンが近づくと怒るのです。。。
これは、かなり接近している状況。
ちょっと珍しいので、
写真撮っておきました。
さて、本題です。
「自己記録」の信頼性の低さは本当にデメリットか
前のブログで、「評価をしない評価制度」でのパフォーマンス・フィードバックは、
他者記録よりも自己記録で、ということを伝えました。
自己記録で進める方が、
上司の負担も少なくできます。
しかし、ここで出てくるのが自己記録の「信頼性」の問題です。
「虚偽の記録」つまり「うそ」が出てくるという問題が、
どうしても出てくるわけです。
本当は30分ほどしかやっていないのに、
1時間と記録する。
書類の処理が10件だったのに、15件と記録する―――。
このような「うそ」での自己記録が出てくる可能性があります。
「それはまずい、自己記録ではダメなのではないか」
と思われるかと思いますが、
自己記録による「うそ」、
これは本当に問題なのでしょうか。
実は、ここに面白い研究があるのです。
ある子どもたちに、勉強時間を自分たちで記録して、
どれだけ変化が出てくるかという実験をしました。
自主勉強の時間にして、Aグループの子どもたちには、
自分の勉強を始めた時間と、終わった時間を書いて、
勉強時間がどれくらいだったかを記録してもらいます。Bグループには何もしませんでした。
「パフォーマンス・フィードバック」=「事実の振り返り」の効果で、
Aグループの方が勉強時間が増加し、結果として成績も良くなってきました。
Bグループは変化なしです。
実はこの実験、子どもたちで自分で記録してもらうのとは別に、
実験の研究者も、本当にどれくらい勉強していたのかの、
他者記録をしていたのです。
すると、やはり中には、本当の時間よりも長く記録している「うそ」をつく子どもたちもいたのです。
子どもですので、いたしたかないことでしょう。
しかしこの実験の面白いところは、この後の部分です。
「うそ」をついていた子どもたちとであっても、
記録しない子どもたちよりも、結果としての勉強時間は増えていたのです。
「うそ」の記録であっても、パフォーマンスは引きあがる。
自分自身で「事実の振り返り」をしていること自体が、
効果を発揮しているのです。
「評価をしない評価制度」は、
最終的に記録をとったことにも「評価」は実施しません。
そうであれば、極端な話、
その記録がたとえ「うそ」であったとしても、
結果として影響はあまりありません。
それよりも、他者記録にはない自己記録のメリットがあるため、
記録して振り返ることでパフォーマンスが上がるのであれば、
自己記録を中心にやっていこうという考えも、現実的にあり、なのではないでしょうか。
もちろん、企業の組織においては、
子どもではなく大人ですし、
わざわざ「うそ」を前提に進めていく必要はありません。
ただ、前提として、信頼性を追い求めるよりも、
記録して「事実の振り返り」をすることに価値があることを知っておくことが重要かと思っています。
また、配達ドライバーの出発時間や、この子どもの実験の勉強時間のように、
基本は自己記録であっても、客観的に確認できるような記録もたくさんあります。
できるだけ、そのようなものを記録するものにしていくとよいでしょう。
最近の研究の中には、近い上司からのフィードバックよりも、
自己記録の方がパフォーマンスが上がるというようなデータも発表されています。
状況などにより一概にはいえませんが、
やりやすさと効果を考えると、
自己記録を中心に運用を行っていくことがよいのではないでしょうか。
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